バック(まわり)を描く

  • 2007.10.31 Wednesday
  • 12:02
 

 この作品は、一昨日のブログで「私もバックを描きたい」との発言により、萩原さんが今日から描き始めた水彩画です。


 モチーフを見下ろせば、物の位置関係を含めた床面が主体に、目線を低くすれば、モチーフがシルエット状の壁が主体になります。でもどちらの場合も、画面の中で床や壁の面積が広くなること多々あり。その広い面積を粗末に扱ってはイケないということが前回のブログの趣旨です。


 土門拳が写真のコツを「一歩前へ」と、対象に近づくことを唱えました。絵もおなじで描く対象を大きく真ん中にもってくればいい絵になります。これは、バックや床の面積が小さく、いやでもテーマが全面に出てくるからです。(人物も床を含めて全身を掻くよりも、上半身だけの方がはるかにカンタン)


 でも、広い空間にある対象物も描きたい。そのときは、外に手数を入れる。さらに、タッチや色が中と響きあわなければならい。それは、周りを白地のままにして、中をほとんど描いた後に、バックを描き足すと間違いなく絵は壊れます。それは、周りの白に響きあうように描いているから。


 さて、萩原さん。中を描かず、外から描き進めるよう指示。外の色を感じながら中を描いていただきましょう!!!

絵が汚れるとき

  • 2007.10.29 Monday
  • 12:01
 

 沢田さんの制作途中の絵です。絵の具をパレットの上で調合し、置くように絵の具をのせることが、自分一人で、ここまで出来るようになりました。拍手!!!これで、次のステージへ上がるわけです。「えっ、次ってなに?」それは、ひとそれぞれ。


 以前の沢田さんは、典型的な「汚れへのルツボ、一直線」だった。何度、口を酸っぱくして言ってきたことか・・・。やっと芽が出てきました。ひとあんしんです。汚れるとは、前にも書きましたが、[筆一本・パレット上単純・画面をそこら中なぞる]の三箇条で絵はその日の描き終わる頃、ドロドロ状態になります。(しかし、そのドロドロ状態を地塗りと考えればそれでいいのですが、次回も同じようでは困る)そうです、その三つをやらなければ、綺麗な響き渡る色になるということ。カンタン!!!


 その日に使う色を、パレットの上に10色ほど、パレットナイフでしっかり練り込んで調合する。しっかり練り込んだ絵の具は発色もよく、画面上で色調整をしないので、気持ちの入ったタッチになります。どうぞ、みなさん試しにやってみてください。

天才はここに?

  • 2007.10.24 Wednesday
  • 12:00
 

 前回のブログ登場の時は、顔写真付きのTシャツで、「なんで僕だけ・・・」と言っていた粉金さん。絵の写真付きで再登場です。


 彼は「色を置く」ということが半分しか理解できないと言っているが、理解していなくても、実際の彼の絵はパレットの上で色を作り、結構しっかりと色を置いている。理解は後からついてくるものだから、気にせずこのままやっていって欲しい。


 絵の要素には、形・色・勢い・テーマ性といろいろある。彼の絵はけっして正確な形ではなく、(その要素をすべて追い求めることは不必要)独特な色づかいにある。色重視の場合は、形は狂っていたほうが結果オーライ。形の狂いとは全部狂っていたら、気にならないものです。そんなことを、簡単にやってのけるのだから、もしかして天才かも・・・と思ってしまう。


 この前、笹川さんが左手でクロッキーを描いたら、うまくいったもので、左利きの粉金さんもまねして右手で描いてみた。結果は、ひどいもので、やっぱりただの○○かしら?と。(失礼、ただの不器用か?と)まったく見ていて飽きない。やっぱり天才か?


 会員が絵を仕上げるにあたり、僕が手を入れる場合はバックなどの対象外のところ中心に手を入れます。絵は中と外とのつながりで成り立ってるので、中ばかり描いていては仕上がりません。描くときの気持ちは、意識的に手数を[外6]に対して[中4]でちょうどいいぐらい。


 粉金さんは、[外]にさらなる意識が入れば、本当に天才になるかも。

地塗りは大切に

  • 2007.10.22 Monday
  • 11:59
 

 この絵は、月曜午後クラスの野上さんのパステル作品。今日からの、描き始めホヤホヤです。だからアクリルでの地塗りがよーーく見えます。


 パステル専用の色画用紙というのが売っているのですから、地に色があったほうがパステルは表現しやすいし、白い画用紙に描く場合でも、大きく色を塗り込んで地を作ってから描き始めたほうがいい。結果的に紙の凹凸の凹の部分に下地の色をつけることになります。


 しかし、最初からパステルで地を作っても、フィキサチーフでしっかり止めないと、パステルの粉が混じりあい、描き始めから眠い絵になってしまう。そこで、アクリル絵の具の登場です。


 アクリルで描き始めてもパステルで仕上げれば、パステル画。油絵の具で仕上げれば油絵である。アクリルは乾きが早いので、初期イメージが薄れない、序盤戦での使用にとても効果がある。さらに言えば、下地の上にパステルを重ねた後、水ぶきすれば最初にもどる。これっていいよね!やり直しが出来るなんて!


 数色使った地塗りの場合、色の響き合いを求めてのこと、地が消えてしまえば響くどころかオモッタルイ絵になってしまう。せっかくの地塗り、大切にね!

重ねるは時間の経過

  • 2007.10.17 Wednesday
  • 11:56
 

 この写真は先日開催された、水曜夜クラス・金子弁護士(通称=金弁さん)の個展に出品された作品の部分です。


 彼は、仕事上、絵を描く時間を都合するのがたいへん。それゆえ、典型的な早描きです。その早描きで、いかに描き込んだ作品に見せるかが、前回のブログの「厚塗り・うす塗りの対比」に通じる話です。


 この手法は、たとえば5回(5日)で仕上げるとして、それぞれの回の制作痕を消し去らないよう見せながら仕事を進めることで、時間の経過・蓄積を感じさせるわけです。塗りつぶしてしまえば、いつも地塗り後の初回ということになってしまう。


 絵の具の多い少ないだけでなく、この仕事のプロセス(経過)を見せることも描き込んだ証として、観る側が認知する。ほんとうに人間とは騙されるのが好きというか、不思議な生き物だ。


 さて、金弁のこの作品、その時間の重厚感というより、絵の具のぶつかり合いによる色の響き、筆ストロークの交差によるイキイキとした生命感がいい。あらためて、色は置くものだと再認識される。しってるかい?英語で色を塗ることを「PUT COLOR」て言うんだ。

自らの変貌、それは楽しさ

  • 2007.10.15 Monday
  • 11:54
 

 この作品は月曜午後クラスの矢部さん、制作途中の「紅葉」です。良い感じに進んでいます。良いというのは、いつでも終れる状態で描き進んでいること。


 矢部さんの当初の作品は、油絵の経験が満たされていないためか、うぶ毛を触るような描き方でした。「そのようではダメ、ガンガン描き加えなさい」というようなことを言えば、「うち、キライナンや」と言い返す状態。しかし、このブログで、地塗り・消したり描いたり・ドロクサクなどと紹介するうちに、メラメラと闘志が湧いてきたのか? 経験欲望増加中です。ついに「タノシイーワ」と発言。実に講師冥利に尽きます。


 絵とは、だまし絵。たとえば三次元の立体を二次元の平面にそのように見えるように描くのだから、観る側がだまされている。または、だまされるという大人の遊びに身を任せている状態でもあるかしら?


 たくさん絵の具を塗り重ねても、それだけでは描き込んだ絵には見えない。キャンバス地が見える場所もあり、厚塗りのところもある絵がものすごく描き込んだ絵に見える。これもだましのひとつなのですが、うす塗り・厚塗りという対比がそうさせる。


 何度も言います。厚塗り・ドロドロ作品を経験してこそ、うす塗りのあっさり味作品が描けます。皆さんもやってみましょうね。

これも「楽しむ」

  • 2007.10.10 Wednesday
  • 11:53
 

 赤とグリーンの絵を描き始めたのは尾崎さん、クリスマスまでに3枚描きたいときた。日本は四季がはっきりしているから、それに合う絵を飾るのもいい。そして、このクリスマスのような行事に合わせるのもグッドアイディア。

昔は、床の間の掛け軸を入れ替えて季節を楽しんだものらしい。その床の間はあっても荷物置き場か? 現代の生活において、季節折々の作品を掛け替えるなんておしゃれだよね。それを自分の作品でやるのだから、これぞ「楽しむ」だ。


 このようにテーマがはっきりしていると、さてドーしたらその趣旨になるのか?ありきたりじゃいやだから、どう工夫しようか?と思案すること確実。これってとてもいい勉強で、制約を受けながら独自性を出すことは造形そのもの。


 あと2ヶ月ちょい、頑張ってもらいましょう!

クロッキーは楽し

  • 2007.10.08 Monday
  • 11:51
 

 今日から、サガンの壁に人物クラスのクロッキーを展示します。


 クロッキー・素描とは人物、風景問わず、瞬時に形を捉えることである。ここで、押さえておかなければならないのは、「形とは全体像を正確に描く事ではなくて、特徴を捉まえること」 だから、同じポーズのモデルを描いても、ある人はネジレであったり、のけ反り、カタマリ、お尻、ワキバラだったりする。


 このことは、クラスで2分のポーズと4分のポーズをやっているのですが、時間が多いと良いものになるかというと、そうでもなく、たいがい短い時間の方に傑作が出ることに現れる。余った時間をもっと精査することに使えば良いのだけれど、結局特徴を捉まえることから離れた作業を加えるためだ。


 僕は、キャンバス上でアーダコーダと消したり描いたり、盛ったり削ったりする仕事とクロッキーやスケッチのように短時間で描き捨てるような仕事を2本立てで繰り返すのが上達の道と考えています。


 以前から繰り返しですが、「何を一番大切にしているのか?自分自身を把握する」このことを理解するのに、短時間のクロッキーは最高のトレーニング。形なんてくるったって問題ない、それが生きた線になっていく。


 100枚描き捨てて、1枚のケッサク!これでいい、これが楽しい。

calendar

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2007 >>

selected entries

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM