これぞ変貌!

  • 2008.02.28 Thursday
  • 15:13
 


 澤田さんの30号途中作品です。絵を汚してしまう"東の横綱"だった彼女、今は、一つ一つ絵の具をキャンバスに置き、パレットの上も色数は増え、さらに筆を何本も使用しています。ご覧の通りスッキリ、一通り手を入れました。これで最後の「タマシイを入れる」段階にきたということです。


 ブログを始めて半年が過ぎました。たえず「意識して挑めば、作品が変わる」ということを書いてきました。澤田さんを筆頭に、皆さんの絵がどんどん変わってきている。僕としては、このブログのおかげで、お粗末なことを何回も個別に言うことがなくなり、一歩上の話を教室ですることができたことが大きい。


 一歩上とは、教室内の「共通言語」が理解され共有されて、はじめて成り立つ。共通言語とはもちろん「意識」だ。漠然と描いたって、ちっともいいものはあがらない。モノづくりとは「構想を練って、優先順位を決めて、あとはひたすらコツコツ」 辛気臭いと言われようが、事実は事実。


 もっとらくちんに楽しむことができないかな?って思ってる方、できません。楽しむとはラクではない。

たまには気分をかえて

  • 2008.02.25 Monday
  • 15:12
 


 月曜午後クラスの松岡さん、今日の水彩です。これは、クレヨンと水彩絵具を併用する「ハジキ絵」という技法です。技法と呼ぶにふさわしいかはともかく、幼児や小学生低学年の学童にやらせることが多い。


 クレヨンのパラフィンの成分で水をはじく。だからはじくものならなんでもいい、油絵の具、ロウソク、サラダオイル、汚れたエンジンオイル、コールタール、どんなものでもOK。 

 水彩絵の具で、しつこく描いていくと汚れてしまうのですが、油分を含んだ最初の色はいつまでもフレッシュに残ることになり、不器用な方ほどうまくいきます。さらに、「ヒッカキ絵」「コスリダシ絵」などの原始的な画法を組み合わせると、アッというような面白い偶然に出会う。


 このようなものは瞬間芸だから、成りきって、おもいっきりやることがいい結果を生む。1枚にかける時間も多くないので、20枚ぐらいなんのことなく描ける。枚数が多いと、自分のよけいなものが削げていくことを感じるのでぜひやってみて欲しい。ほんとうだよ。 

結果は「A」ということに

  • 2008.02.20 Wednesday
  • 15:05



 中森さんの作品があがりました。結果が「A」であって、正解が「A」ではない。中森さん本人が決めたことです。


 A,B,Cいずれかの選択肢があって、本人の意思で決め、その方向で仕上げる。これが普通の制作現場です。「無意識に筆が動き、神が自らの進む道を示され、がむしゃらにやったら、スバラシイ作品が出来ました。」なんてことは、まずない。


 何を表現したいとの強い意志があれば、その実現方法はかならずある。そのために、今までの経験をフリシボッテ、講師は奮闘するのです。だから、「まずは基本的な技術を習得」という、とても日本的で甘美なフレーズが一番あやしいと思うしだいだ。


 「何を表現していいかわからない!」という方は、ただ避けているだけ、もしくはその経験がないということ。僕は、そこをお手伝いしていくつもりなんだけれど、みなさんは嫌がるのだろうか?喜ぶのだろうか? どう?

絵になるモチーフ

  • 2008.02.18 Monday
  • 15:03
 


 月曜午後クラスの土方さん、初日でここまで描きあげました。絵になるモチーフ、基本が出来てるモチーフは、描いていて気持ちよいし、なにより早く仕上がる。


 基本が出来ているモチーフとは、第一に明暗対比が基本で白黒で描いても面白いもの。第二に物の方向性があるもの。第三に基本形に近い形。


 カレイが裏表。その裏表が白黒。さらに向きが逆。こんな逆ばかりなものが、円満の円形のなかに菱形が収まっている。要するに作画意識を持たなくても、事前にモチーフが絵作りを終えている。作者は、ひたすらカレイのリアリティーを追うだけである。


 下にあるカブは、最初は1個だったのだが、下に余白ができて2個にしてみた。だけど、やっぱり2対1でカブが句読点の役割にならないとダメだね。来週1個に戻して、スッキリシンプルに。その方が絶対効果的だ。


 一度はこのようなモチーフ描いてみませんか? 

たとえば、雪を描くとして・・・

  • 2008.02.13 Wednesday
  • 15:01
 

 まだまだ寒い日が続きます。それに、ちょいちょい雪も降る。ということで、たとえば雪を描くとしよう。


 「雪」ってどんなイメージですか? そこで「美しい・キレイ」と答えてはいけない。雪がどのように美しいの? 雪のどのようなところに興味がわくの? その答えは「厳しさ」「清楚さ」「冷たさ」が美しいとか、興味があるとなる。


 「雪」のイメージを三つあげて、優先順位を決めてみてください。たとえば3人が同じく「厳しさ」「清楚さ」「冷たさ」をあげ、優先順位の1番はそれそれ違うとする。


 「厳しさ」の人は、ナイフを使ってハードエッジな絵になっていくだろう。「清楚さ」の人は、白基調でコントラストが小さい絵かな。そして、「冷たさ」の人は、青基調の中で白を表現するだろう。雪のイメージが同じでも、結果はまったく違う絵になることになる。


 テーマがないとお悩みの方、決めかねている方は、対象の意味を無理やりでもいいから、三つ抽出してみよう。そして、優先順位を決める。それを、メモしておく。


 制作中は、明るくしようか暗くしようかと、何度かは制作方針に迷いがでる。その時の答えが、自分でひかえたメモにあるのです。

額縁について

  • 2008.02.11 Monday
  • 15:00
 


 これは、先に開催されたサカイの個展での一枚です。この額縁について意見・質問があったので、一度説明しておこうと思う。


 額縁とは、絵とまわりの環境とを区別する境界である。その絵とは、絵の中に空間・奥行きがある風景画とか静物画のこと。要するに、壁の中に奥があるという不条理を額縁が補正しているのだ。区別するためなのだから、ちょっとぐらい派手でもいい。


 ここで、日本の住宅事情を考えてみると、なかなか漆喰の壁や打ちっ放しは少ないだろう。だいたいがボードに白基調のクロスだ。言い換えればハリボテなのです。西欧風の重厚な額縁はまったくもって合わない。極力シンプルなものを選ぶことが適切だ。


 さて、サカイの額縁は額といいながら実際は標本箱である。この標本箱に入る作品は、基本的に額がいらないのです。石ころやチョウチョ、陶板・レリーフを並べてるのと同じと思っていい。そのまま壁に掛けてもかまわないのだ。ただのホコリ等の汚れからの守るケースなのだから、出来るだけ白基調のボードに溶け込むものがベターセレクション。(だから、側面からすべてがアクリルケースというのがある)


 そこで、もし、作品を手に入れたとしよう。

1,額縁は趣味の問題である。好きな額に入れ替えてかまわない。

2,部屋・家の環境に合わなければ、額を変えればいい。

3,さらに、額を取り省き、むき出しで飾ってもいい。


 現代美術とは、作品の中の奥行きではなく、作品そのものと自分の距離・関係が主役なことが多い。本来額装とは縁がないものだろう。パッケージという行為につながっていると考えていいのかな。 

再度、グループ分けについて

  • 2008.02.06 Wednesday
  • 14:58
 

 一通り絵の具を置いた中森さんの絵です。ちょうど絵の方針を再確認する段階だったので、パチリ。分かりやすい教材です。


 自分は、このモチーフのどこに興味をもっているのか? または、どこを目立たせたいのか? それによって、その後の作業が違っていきます。「A」は斜線の部分をコントラストの少ない類似色を使うことで果物の上の部分がメイン。「B」は果物の底の部分がメイン。そして「C」はテーブル面が主役になり、凹凸の構図の中に、従的に果物があることになります。


 絵は、このように、自分の意志によって自在に変貌します。ここが絵の面白いところです。絵は常に自分が主体、いい絵を描きたいと思ってはいけない。何を描くかを考えないといけない。


 難しいとは言ってはいけない。そういうことをいつも考える習慣が必要なのです。意識があれば変わっていく。



雪が降ったなら

  • 2008.02.04 Monday
  • 14:54
 



 昨日は東京に久しぶりの雪が降りました。車でのお出かけがあった方はタイヘンだったことでしょう。でも、多くの方が日曜ということもあって、雪の中、のんびりと過ごされたことと思います。(雪かきはたいへんですが・・・)


 さて、雪が降ったなら。絵を描く方、モノづくりに身を置く方は、朝早くから外に出て観察をしなければならない。それも、長靴なり登山靴を履き、しっかり防寒具に身をくるめてである。そのような用意はいつもしておかなかければならない。(いざというときに役に立つ防災グッズとしても役立つ)


 なぜ、朝早くからというと、処女雪は紛れもなくキレイだし、子供たちに荒らされた後の泥ダルマを見なくてすむから。(でも、泥ダルマをテーマにすることもできる) 静かな中、自らの足踏みの音ともに、全身を使って体感するのである。これがリアリティーというものだ。雪が腐る前に急がなくては!


 僕は、台風通過というときは興奮して眠れない。バケツをひっくり返したような雨の時は、ヘラヘラニコニコして外へ出ちゃう。本当は増水した川も見に行きたい。(とても危険!) その後、残像にのこったイメージを「ザーー」「ゴロゴロ」と叫びながら絵を描くと、いつものものと違う絵が描ける。そう、これがリアリティー。


 長靴・カッパを持っていない方は買い求めること。足下を気にしてては、感じるリアリティーも半減。濡れることを嫌がっては、雨の勢いを受け止められない。準備をしよう。絵を描くために!

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