単純、偶数、こりゃ難しい

  • 2008.04.30 Wednesday
  • 09:32
 

 毎度おなじみの中森さん、現在制作中の絵です。□と○、基本形によるシンプルな絵、難易度は高い。四角い方を花婿、丸い方を花嫁、結婚記念の写真と思えばいいのだろうか?


 まずは、再度グループ分けの話。床は□○のどちらかとグループを成しています。これを押さえておかないと、バラバラの絵になります。左の絵は□がアクセントになってるので、○の中の絵の具がじゃまになってきたようです。(要検討)


 次に、絵画に数字。けっこう関りがあるのです。偶数と奇数。偶数のものを絵の中に入れるのは難しく、奇数は自然にリズム感が生まれることもあってラクである。強い意志なしに偶数のモチーフを描くとひどい目にあうのは間違いない。


 最後に色。紙風船には、三原色。この三原色をそのまま再現してしまうと、これまた絵を壊してしまう。絵にあう様処理する必要がある。キレイな黄色や赤があると、他の色がすべて汚れて見えるのだ。色自体に責任がないのに、考えのない他の色で汚れ色の汚名を着せられるのである。


 その汚れ色も、汚れ色だけで表現すれば、実に美しい色合いになることを付け加えておきます。明るさも鮮やかさも色の違いも、色単体ではまったく意味を持たない。比較対象があってはじめて成立する。それを決めるのは作者。

白黒に感じる色気

  • 2008.04.28 Monday
  • 09:31
 


 墨汁だけで描いた半田さんの絵です。白黒、モノトーンって魅力的だよね。色をバカスカ使っている自分も、実は白黒大好きで、買い求める絵は白黒ばかりだ。(自分の絵が生きる)


 子供の頃、家には白黒テレビがあった。そこに、「ディズニーのお城に花火」「東京銀座、三愛ビルのネオン」「おなじく、不二家のイルミネーション」等が映し出されてた。子供の記憶は、しっかりとカラーなんだな。なんて美しい!都会って色鮮やか!


 ということで、白黒のトーンが合っていれば、色を感じることが出来る。力道山、大木金太郎、ジャイアント馬場が流血した時、血液は真っ黒だった。(赤は暗い色)物心ついた時からカラーテレビの世代は、色に渇望していないというか鈍感というか、ちょっとかわいそうに思ってしまう。


 デッサンというと形をつかむことが主に思うかもしれないが、本当は「つながり」「関係」「調子」というものをが大半を占める。小津安二郎や黒沢明を知らない世代は、なおのこと、白黒の勉強をしたほうがいい。

モチーフの対峙

  • 2008.04.23 Wednesday
  • 09:30


 水曜午後クラスの岩佐さん、2枚目の油絵が順調に進んでいます。青いグラス、ライムイエローの果物、ブロックと、少ない要素の構成で、清潔感あふれる絵です。


 地べたを這うようにブロックと果物、それに対してそそり立つグラスが三角形をなす構図です。大げさなモチーフを対象にしなくても、構成の仕方・考え方で、絵は大きく変貌する。これが絵のおもしろいところだ。


 「絵にも描けない美しさ」とはよく言ったもので、本当にそうだと思う。美しくないものを美しく絵にするほうが簡単だ。自分の解釈でいかようにも変貌させることができるのだから。「絵空事」とは、僕はいい意味で捉えている。絵の存在意義そのものだから。


 もし「絵にも描けない美しさ」にであったら、できるだけ長くその場に居ることだ。そして、自問しよう。私は何に対して・どの要素に対して、こんなにも感動しているのか? これを見極めなければならない。美しさは複合的で、主観的である。観る側の鏡だ。


 「キレイ!」「ステキ!」「カワイイ!」と言わないだけで、どれほど感動を維持でき、かつ持ち帰ることか。 

 

降りそそぐ臨場感

  • 2008.04.21 Monday
  • 09:27
 

 昨日、コスタリカから帰国しました。頭は寝ぼけていますが、体にはジャングルの熱気が充満しています。ということで、今日のブログは旅の話。


 以前から、「リアリティーとは?」の件で、旅の作品を作るのなら現地でスケッチをして、資料としての写真を多数撮ることと、言ってきた。そして、その本作も帰国して熱いうちに仕上げるのがいいと。


 だが、現地で限りなく仕上げるにはどうしたらいいのだろうか? ゼッタイその方が、集中力もあるし、いいにきまってる。 と、僕の画材はドンドン増えて、手荷物のほとんどを占めることになる。


 でもね、仕上げるには、やはり時間が足りません。それに、描く前に外に出てインプットしなければなりません。50%のあがりで終るのが現実です。現地でワン・ツー・スリーと手を入れて、帰国してワン・ツー・スリーで仕上がればいいかと考えている・・・。


 この写真は、ホテルのバルコニーで制作中のものです。まわりは、ジャングルというか森につつまれています。BGMは常時10種類ぐらいの鳥が合唱しています。湿気を含んだ熱気がまとわりつきます。「これがリアリティーだ!」 と、ウレシイ叫びが湧いてくるのです。


 前日に取材した、板根・マングローブ・巨木の空間・植生の違いがよみがえります。もうほとんど同じ環境のオープンスペースでの制作ですもの。忘れないための記録、そのような汚れに近い作業が始めの一歩です。


 現地で40枚、50%。来春の個展なんとかなりそうです。

「魔女もほのぼの」作画意識による

  • 2008.04.07 Monday
  • 09:22
 

 藤山さんのアイスクラッシャーが仕上がりました。春らしい色合いで、まことにほのぼの、癒し系。


 今日は、作画意識について。だいたい構図が決まって、その後どのように展開するかは、その意識によって決まってくる。この作画意識を、「ウソを描いていいんですね」と言われては泣けてくる。


 青紫系のベースに、赤が円を描くように連なっているのが解りますか?ほうきのふさはピンクではありません。そして、キャンディーはグリーンでしたし、水玉模様の服なんて存在せず。そう、ひとつの方向性が決まったら、それに従って世界を作り出していいと思う。


 魔女が二人いたら、片方が主役。もうひとつは後ろ向き。いたって合理的でしょ。そして、主役の服が水玉になってくる。思いつきでいいのだけれど、理にかなってなくてはいけない。


 自分の方向性が見つかる喜びは、毎日の継続の中にある。その毎日の継続だけでは得られない足りないものがある。それは、人の作品を見ること。乱暴な話、作品に感動などしなくていい。自分にとって使える世界か、参考になるかが大切だ。ものごと、必要にせまり、まねることからはじまる。


 まねよう。そうするといろんなことが解ります。(まねるは続く)

リベンジ!!!

  • 2008.04.02 Wednesday
  • 09:11

  久しぶりに萩原さんの作品を取り上げましょう。グリーン系の画面に花一輪、今回は地面を白抜きのままで描いてみてと指示。意図は床は二の次、すべてを花と背景に集中しようというもの。間違いなく「T」の字の構図になって、スッキリなものになると踏んだ。


 本人はいまいちの様子だけれど、そうでもない、しっかりとした水彩画です。ツバキの葉っぱの強さをもうちょっと強調したほうがいいのかな。


 床も描いて、葉っぱも描いて、花も描く、これが普通の捉え方なんだけれど・・・、以外と難しい。こういうものを描きましたというサンプル写真になりかねないからだ。何かを強調するために他の付随事項を消去してもかまわない。


 要は、いつも言っている「なにが一番描きたいか?」そのためには、なんでもありなのが絵の世界です。


 さて、その萩原さん。「リベンジだ!」と言って、下書きなしでもう一度描いた水彩画が下の絵。全体ではなく、「一歩前」要所を強調する構図になっています。このようなリベンジは大切だ。2枚目は15分ぐらいの所要時間かな? 枚数をこなすごとに時間もかからなくなるもの。だから、2枚目・3枚目ってそんなに大変ではありませんよ。


 よい見本、みなさんも実行!!!



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