2コはたいへん

  • 2008.05.28 Wednesday
  • 09:46
 


 中森さんの最新作です。彼女いわく「次回から奇数にします!」 やはり2コ組は大変だったようです。四角をとれば丸がたたず、逆もうまくいかない。単純すぎるがため、グループ分けが難しくなるのです。


 それでもここまできました、たいしたものです。あまりにも視点の定まりがなかったので(何に注視していいか解らない状態)、透明なビンの向こう側の線を歪めたのがよかったみたいです。


 本当は、作者はフォルムの面白さで仕上げようとしたところがあったのだが・・・。まとまらないので、いいかわるいか?解らない講師のアドバイスです。(確かに視点は定まった)


 モランディーという作家がいます。中森さんが大好きな作家です。彼の作品にも2コ組は少なかった様な気がする。あっても、右左が白黒の対比があって(カレイの裏表のようなもの)2コのフォルム自体は主役ではなかったかな?


 ちなみに、このブログでよく言う、「汚い色ばかりだときれいな色の組み合わせになる」これの代表は、このモランディーです。知らない方は、調べてみてください。

寄れば響く、主役なり

  • 2008.05.26 Monday
  • 09:44
 


 皆さんもご存知。アトリエの裏階段からの眺めに挑むは、サカイクラスの長老・土方さんです。今回は、毎度の「一歩前へ」の話です。


 実際に、階段から眺めれば、奥の建物にゴミ焼却のエントツが目に入ります。そこで、作者はどう切り取るかを考えなくてはいけない。見下ろしているのだから、地面のレイアウトが主題だろう。遠景のエントツシルエットではない。(できないことはないが無理がある)


 川のカーブの面白さ、もっと言えば S字カーブの面白さである。しかし、使用キャンバスは F型なので、もしS字カーブを入れたら余計な両サイドが入ってきてしまう。残念ながら諦めるしかない。


 最終的に選んだのが、このカーブだ。ちゃんとカーブが主役になっています。こんなことも慣れていないと、すぐに方針を決められないものです。そのために、アイディアスケッチ・エスキースというものがあるのだ。


 簡単なスケッチをトリミング(いろんな切り取り方)をして、印象の違いを把握して、制作方針を決めます。才能のあるないの問題ではありません、やるかやらないかの問題です。実行すべし!!!

五月晴れ、水彩画がいい

  • 2008.05.21 Wednesday
  • 09:41
 


 台風だ、前線だと五月だというのに長雨。そして今日、みごとに気持ちよく晴上りました。そんな日は、サラッと水彩画を仕上げるのがいいかも。乾きも早いしね。


 この作品は、萩原さん。毎度、毎度、「またやったか〜〜〜、だめだ〜〜〜」と嘆きつつ帰っていきます。しかし、一週間のイメージトレーニングを続けることは、無駄にはなっていないようです。ここのところ、その嘆きも減りつつあり、作品もこのように軽やかな水彩画になってきました。


 話は、また天気にもどります。日本では、天気をあいさつにするし、天気のことで十分話が続きます。これは、日本の持つ特異性に違いない。世界中、乾期と雨期に分かれているだけで、毎日同じ天気が続くところが多いのだから。


 そんな雨続きで、作業場はかび臭く、日差しもない薄暗さ。そのような中で、油絵を描けと言われても所詮無理な話な気がする。もうやめよう、油絵なんて!と投げ捨てたくなったのは、そう僕の話。


 夏至に向けて、欧米の多くの国はバカンス。日差しいっぱいの輝く夏です。そして、日本といえば梅雨真っ最中。梅雨があければ、夏だけれど、日差しはもう力がない。(だけれど暑い!)やっぱり特異だ。


 この特異性を作品にできないか、それも現代風に。多くの作家が頭を悩めていることとおもう。なぜかというと、欧米諸国に入り込めばステレオタイプな日本というアイデンティティーを掲げざるおえない。そして、日本にいれば日本という特異性がまったく見えないのです。


 美術の世界では、「特異」「へん」「アンチ」というだけで作品が成り立つ。日本が「特異」だとしたら、それだけで作品になるのに・・・。たとえば、水墨画。西欧の目からみれば特異。日本人から見れば、なんのことはない普通。その普通感覚では、現代に新しく蘇らせることはできないのだ。

うす塗りだって、力強い絵になり得る

  • 2008.05.19 Monday
  • 09:39
 

 うす塗りオジサンと言われてた袴田さん、実は少しずつ変貌。進化しているのです。彼がつぶやきました。「線にはいろいろな種類があるのですね。まだまだやることがいっぱいある。」


 しごくまっとうなつぶやきです。この春、ムサビの通信課程を卒業して、一段落のときのことです。なにか、集中して制作なり、発表なりをしたあとに、自ら次なる課題が出てくることは幸せなことです。それは、その仕事にピリオドを打てたこと。ダラダラとコンティニューでは話にならない。


 現在、下地とうす塗りがいかにマッチするかに挑む。一層の地の上にうす塗りではなくて、階層構造(サンドイッチのような挟み込み・繰り返し)のトレーニングが必要。その階層に潜むような線、前面に飛び出す線、その形跡のみ残る線が、壮快に走ればいいのだが・・・。まずは、なにごとも、やりすぎること。そうしないと解らないから。

経験を積み、そして記憶する

  • 2008.05.14 Wednesday
  • 09:37
 

 笹川さんの最新作です。赤いダイナミックな絵ができました。


 さて制作中。「思いもつかない」という。こんなことも出来る、あんなことも出来ると伝えても、顔には○△□の困ったサイン。(実は以前に伝えたことの変形だったり亜流だったり、決してあたらしいことではない)


 絵を描くということは、失敗するということ。失敗を恐れないということ。まずはやってみるということ。何か行動することで、次の発想が浮かぶものです。もし浮かばなければ、その作業は死んでいる。生きた作業をすれば、未来に心配はない。


 次に、失敗・成功を忘れないで記憶すること。すべてを忘れ去り、いつも新鮮に接するなんてことはあり得ない。人は過去をもって今生きている。


 絵を描くことは、大変だと言う方々。以上がいい絵を描く方法だと言ったらどうしますか? これって絵のこと? と感じるでしょう。僕は「HOW to 本」がきらいです。ほとんどウソだと言っていい。自分の経験以上のものがあるだろうか? だから経験を積むしかない。


 「継続は力なり」とはよく言ったものだ。

シンプルに気持ちよく描く

  • 2008.05.12 Monday
  • 09:36
 


 月曜夜クラスのYさんが制作中の人物画です。とても力強いですね。絵の具は白・黒・コバルトブルー・イエローオーカー・バーミリオン・クリムソンレーキだけ。


 基本色のチカラというのか、そのものズバリ、おねだりするような中間色はまったく無視する、ストレートな捉え方がいい。気持ちいいよね。それに呼応する大胆な線がピッタリあっている。


 このような絵は、個人的に慣れしたんだものだ。学生時代にずいんぶん想いをいれて描いたのです。なんか、なつかしいーなぁー。というのも、モデルは腹のでぐあいもしっかりしていて、きゃしゃなオネーサンなんていなかった。あのとき、それはそれは、横道にそれることはなく、真っ直ぐだったような記憶がある。


 固まりだ。量感だ。動きだ。それが本質だ!!! わけもわからず、そう思いこんでいた。描き手の想いとは、そんな簡単なものではないよね。そんな質量が一番大切なわけないよね。教育の現場ってヘン。


 サガンのへたくそな絵に安心感を感じるのは、遠からず「絵の本質」を擦っているからと思う。みんながんばれ!

制作前の頭の整理

  • 2008.05.07 Wednesday
  • 09:34
 


 鈴木さんのコラージュ、初日です。かるく水彩の下描きをした上に切りきざんだ紙を重ねていきます。もう出来上がりの雰囲気が漂っていますよね。


 それは、制作前の方針、その確認につきる。色づいた並木がトンネル状のアーチを作っている。それは、傘の下と同じで暗くなる。トンネルを抜けた先には明るい世界が見えるのである。これが、構図であり本質である。他になにがあるのだろうか?


 いや、他になにかあってもいい。あるべきだろう。それは、刺し身のツマであったり、お弁当の彩り用のミニトマト。なければ、寂しいけれど、これらは本質ではない。


 この鈴木さんの作品は、たぶん早めに仕上がるだろう。描くべき本質を得た時は、スムーズな工程をもって作業が終り、出来の良い作品を眺めることが出来る。


 くれぐれも、表面的なつくろいを追ってはいけない。描く前のちょっとしたヘッドワークを楽しむんだよ。

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