気持ちよいとは

  • 2009.01.28 Wednesday
  • 14:29
 

 水曜午後クラス、佐藤さんの新作です。以前、L字の構図で紹介しましたよね。リンゴの色の豊かさはホレボレしますし、赤みの中で黒系のポットがバッチリ引き締めています。そして、エロティックアートの本とリンゴなんて、ちょっと意味ありげなところも面白い。 
  
 構図を考える時に、画面の端で物を切るか入れるかで、とても雰囲気が変わります。簡単に言えば、切るとそこから外部に広がりが感じられ、その切ったものは絵の中で強い印象を与えなくなります。だから、一番描きたい物を切ってはダメですよ。 

 さらに、この絵の中枢は水差しとリンゴ3個。それらがグループをなして、床と本でできた十字の支点に、ピッタリと収まっている。文句の無い構図だ。清々しい色で気持ちよくなることもあるが、本当は文句の無い構図が観る側を気持ちよくする。 

 絵の勉強をしている皆さんは、では、それをどうやって覚えるのだろう? とおもうよね。何回も言っていることですが、制作前のエスキースでいろいろなケースをシュミレーションすることです。 

 「でも、それってタイヘン!」 という方は、絵の制作中に描かれている物の位置をずらして確認することだ。これは、スクラップ&ビルトだよね。だいたい、壊すとよくなるのはそのせい。 

 「せっかく描いたのに!」 壊すのが怖い方は、ただの経験不足。毎日・毎日、ひたすら意識をもって描くこと。絵を描くのに王道はあれません。 

ジャネンを振り払う

  • 2009.01.26 Monday
  • 14:27
 

 人物クラスの金子さん、1日目が終了した時点の絵です。さて本日、どうなることでしょう? 実は、金子さん、絶不調だったのです。体調も悪かったのだろうけれど、よくある話なので触れておきたい。 

 「絵にも描けないほどの美しさ」とはよく言ったもので、本当に描けないのです。美しい景色は、心に記憶し、美しい女性は妄想のネタにしたほうがよいのだ。乱暴な言い方をすれば、汚いもの、それほどでないもの、気にも留めないものを、美しく描くことを描写というのではないだろうか。 

 今回のモデルは、金子さんの知り合いの若い女性です。中年男とすれば、かわいいのだから可愛く描いてあげたいと思うのが情というものだろう。その感情が、絵画の思考をじゃまする。ナイスバディーで美人のモデルの時は、大抵みんなの絵の出来は落ちる。 

 そんな中、金子さんは夏に個展をするというので、ほっとくわけにもいかず、描いている後ろで怒鳴り続けたら、けっこういいじゃん! さて、何を言い続けたか? 
1)色はキャンバスの上で作らない! 
2)色はパレットの上で作れ! 
3)色は塗らない!キャンバスに置くんだ! 
4)白いすき間があったていい、塗りつぶそうなんて思うな! 
5)とびとび、全体的に進めろ! 
6)塗り残しも、白という色!認識しろ! 
7)ズボンの太もも、ふくらはぎ、内もも、全部違うだろ! 

 というわけで、後ろでガンガン言われるものだから、オネーチャンを可愛く描くことも出来ず、結果オーライということ。このことは、他人事として笑ってはいけません。多かれ少なかれみんな一緒です。 

 さて、今夜はこんな感じになりました。どうでしょう? 


制限・規律・自制

  • 2009.01.21 Wednesday
  • 14:11
 

 中森さんの新作です、「不揃いな整列」ってところでしょうか。なにか決まりごとがないと絵にならないので、この絵のキーワードは「一列・正面・水平」だね。ものすごく堅苦しい設定をしているからこそ、この不揃いが生きてくるのだろう。 

 絵の世界は自由だといっても、制限・規律・自制をふまえての自由だ。規律がなければ自由もクソもなくなる。自由=不自由となり表裏一体だ。 

 そこで、いつもの考え方の登場です。では自由な絵を描くためには、自ら制限を与えればいいのだ。今日、同じ時間に長島さんが水彩のトレーニングをしたいとのこと。与えた課題は「モンステラの葉っぱ1枚を、緑色を使わないで、大きさは小判から五百円玉ぐらいのタッチ、けして塗らず色を置くように描いて」というもの。 

 出来上がりは、固定概念に縛られていない自由なものでした。(未撮影)色だってたくさんあると自由か?というと、迷うだけで不自由を感じてしまう。それを3色に制限するだけで自由を感じるものです。 

 そう、見方を変えれば、制限・規制とはいいもんなんだ。 

気合いが入ってきた

  • 2009.01.19 Monday
  • 14:10
 

 月曜午前クラスの石塚さん、5月に個展が決まり、気合いが入ってきました。展覧会がきまると、不思議と集中力が高まる。よい絵が描けるようになったら展覧会をするのか、展覧会が決まったからよい絵が描けるのか? ニワトリが先か?タマゴが先か?の話だけれど、僕は後者の方が手っ取り早いと思ってる。 

 それは、仕事すべてに通ずることですが、期日がなければ、人間って真剣にならないのよね。確かに、コツコツとじっくり、何年も、やり続けて成果を出す方はいるだろうけど、こっちの方が少数派でしょ。だから、一般人は期日がなければ結果をだせない。 

 さらに、展覧会は個展が一番。他人に責任を転嫁出来ないので、なおのこと成果が上がるし。やり終えると、気持ちよさが残り、またやろうかな?なんて思ったりするものです。 

 前回は、バリの葉っぱのモチーフで会場を埋めていましたが、今回は趣味の山歩きで出会った高山植物をモチーフにしています。すでに、20点ほど出来ていますが、気合いが入った今後の作品に駆逐されていくことでしょう。乞う期待! 

さてどうでしょう?

  • 2009.01.14 Wednesday
  • 14:09
 

 萩原さんの作品があがりました。さてどうでしょう? 途中でやっぱり失敗か・・・と敗北宣言もありましたが、ここまで復活。 

 どういうことかというと、カボチャの投影された陰を描いている時に、集中するあまり汚してしまって、敗北宣言ということになった。 それで、床面を均一に汚してみるよう指示すると、なんと復活! 

 しかし、床の手数の多さと壁の赤のフレッシュさはいまいちあっていない。やはり、同じ手数、一ヶ所に集中しないということだ。背後の赤も、この際少々汚さなくてはいけないようですね。 

 前回のブログで「見えない糸」の話をしました。今回、床を均一に汚した段階で黒っぽい模様が薄れた。彼女は、もう十分よいと思っているようですが、「黒の花瓶がヒトリボッチでかわいそうでしょ?」と四角い模様に黒を入れて強めるように指示しました。 

 どうでしょう! 本人にも「見えない糸」が見えたようです。絵は関係・繋がりです。なんでしたっけ?「おおーーい、と呼べば、なぁーーあんだい。」と答える関係です。それだけで、絵が大きく見えます。 

いい予感ありあり

  • 2009.01.12 Monday
  • 14:06
 

 寒い休日でした。午後のクラスに頑張って来た3人が作品を仕上げたので紹介します。1枚目が飯嶋さんの水辺シリーズ、だんだん形になってきました。やはり水は流動性のあるもの、岩石のように描いてはいまいち。何枚も同様の作品を描くことによって、チカラが抜けて、作品もアカヌケテクル。 

 メリハリとは、「しつこく描くところ」と「かるく手を抜くところ」をつくること。そのことを知り得るには、同様の作品を描き続けるしかない。絵は難しいというまえに、やることをやる。絵にかぎらず、同様のことを何度も繰りかえすことが難しいのである。だから「絵はむずかしいね〜〜〜」なんて言ってはいけない。今後の飯嶋さんに期待するところです。 

 下にある2枚目はご存知、海の夕日作家である柳澤さんです。なかなか、アサヒ作家にはなれないようだ。まずは、半島と舟をシルエットにして、沈みゆく夕日が目に飛び込みます。次に、輝く白波に目がいく。そして最後に、砂浜にいる人と犬。 

 絵にはこの順番が大切なのです。なんでもかんでも説明しては、鬱陶しいだけだ。この知的な遊びを作画意識という。 

 最後に、3番目の作品は、超多作長老の土方さん。1年前は山肌を一色に塗ってたのが、どうだこの進歩!ってなかんじ。遠近の表現もバッチリです。画面上で絵具を調合してはいけません、パレットの上で色を作って、色を置くように描く感覚を得ると、上達がはやいです。 

 ということで、よき1年のはじまり。がんばりましょう。 




最後のひとふで

  • 2009.01.07 Wednesday
  • 14:05
 

 年始め、派手にいこうと赤い布を敷きつめてみた。本人の萩原さんは、ビックリしていたけれど、黒の花瓶が絵を引き締めてシンプルでいながら華やかだよね。 

 そこで、いい感じなので、次週に続きとしました。水彩は後戻りができないので、最後のフィニッシュワークを慌ててやってもいいことがない。一週間後に新鮮な目で自作と対面するのもいいだろう。 

 さて、そのフィニッシュワークとは細かいところを描くわけではない。最初に戻って確認をすることだ。全体を見ずして細かいところに集中して絵をボツにすることはよくある。 

 何を一番に考えていたか? その1番手を2番手以降が協力しているか? 中央近辺の主役と絵の四隅はつながりを感じるか? 赤の強さはどれぐたいがいいか? ということを最後に考える。要は始めに戻ることだ。 

 最後だからといって、特別なことをやるわけではない。色だって特別な色を追加するわけではない。コントラストの強弱をしっかりと確認すること。だんだん慣れていくと絵の中に縦横斜めに張り巡らされた見えない糸のようなものが感じてくる。 

 もう一度、特別なことをやるのではない。覚えてね。 

謹賀新年

  • 2009.01.05 Monday
  • 14:03
 

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。 

 さて、只今継続中の基礎英語の会話の中に「人生とは、したいことと、しなくてはならないことの間を漂うものだ」と出てきました。なかなか意味深い言葉だと思います。僕の持論ですが、人生論=絵画論。これは使える!と。 

 言い換えれば「絵は描きたいものと描かなければならないものの間を漂うものだ」実に言い当ててます。人生がつまらない、悲しい、絵がつまらない、というのはその間以外のことをやっているからではないだろうか?  

 このように、ピン!とくる言葉というのがあって、以後心に残り、その後の指針となることがある。ブログを続けるのも、その一つで、続けてきた最大理由です。昨年暮れに、柴村・斉藤両講師との宴席があり、今回の写真の本を紹介されました。この本は、森芳雄が絵を前にして言った事を書きとめたものです。 

 森芳雄とは、暮れに見に行った山口薫と同時期の作家です。我が母校でも教鞭をとっていました。実際は会ったこともないし当然講評も受けたことはありません。が、しかし、書いてあることは、何回も聞かされたことも多く、延々と伝わってきた事実を感じます。 

<問合せ先> 
391-0002 
長野県茅野市豊平東嶽6−1−19 
0266-76-2612 
菊池昇栄太 

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