屋根の絵

  • 2018.03.28 Wednesday
  • 19:26

 

 旅に出ると、その街の屋根の美しさ、統一感にキレイだなあ〜って思うことが多い。なんのことない屋根が集合することで、奇妙な動きが出てきたり、大きなパワーとなることもあるだろう。この作品を描いた野沢さんも、いつかは描いてみたいと温めてた一枚だったの。のだが、、しかし、、、うまくいかない。実は、この絵は3枚目です。よくあることで、写真から絵にしたときの失敗なのです。写真を説明することで終わったしまうと、つまんないモノになる。

 

 写真を見て、キチンと見て描かなくちゃという気持ちと、あんまり拘っちゃいけないというのが、ミックスして結局、どっちつかずでつまらなくなるのです。モチーフは、いただく気持ちが大切です。モチーフの意味を描かせて頂くのだ。食材を揃えて、どう調理するかと似ている。同じ食材でも、まったく違う料理になるのと同じだ。どう調理するかの検討なしで描くと、素材に負けてしまう。この風景の何が面白いのか?何に惹きつけられたのか? 何となくでは絵にできません。このような検討をエスキースという。この屋根だって、ラブリーにも深刻にも描けるのです。どう描きたいかを自問し整理しましょうね。

 

 野沢さんの屋根の絵は、3枚目で、とてもよくなりました。なんか窮屈になれば、ブレイク&ビルドすればいい。気楽になってよくなるよね。いい勉強しました!



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パースについて

  • 2018.03.26 Monday
  • 19:52

 

 新田さんの水彩画新作です。旅先の風景、自分の思い出を絵にすることは、表現としてリアリティーがある。なにより描く動機付けがあるよね。別に海外でなくていいから、ちょっとした近郊の旅。なんのことなく近所の風景を描くのもいい。しかし、描こうと思って旅をしなければ描けません。どうでもよい会話で終わり、美味しかったねで終わる旅に、自分なりの味付けをするのも楽しい。しかし、後で降って湧いたように絵は描けません。描くつもりでその景色を眺め、観察しなければ、記憶には残らない。あやふやなものでは絵は描けない。ちょっとした緊張感をもって旅をするのだ。なにげに楽しいものですよ。

 

 さて、パースが難しいと言う方がいます。そのポイントは、描き手・撮影者の目の高さです。地面は、右上がりで屋根は右下がりになってますよね。その間にはどんなものも水平なラインが存在して、その高さが目の高さとなる。もし、地面すれすれで眺めれば、地面と建物のラインは、水平になる。絵を見れば、観察者の高さがわかるのです。だいたい目の高さは屋根より地面に近いので、屋根の傾きより地面の方がゆるやかになります。よく屋根も地面も同じような角度の絵を見かけますが、不自然きわまりなく、作者が何も考えていないことがすぐわかる。

 

 この絵でいうと、遠くに地平線があります。そこから身長分高い位置で水平線を引くと、窓の高い位置になるので、脚立に登って眺めていることになる。このようなパースティクティブな絵を描くときは、思い切って水平線を描いてみることだ。



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春を前に、雪の日

  • 2018.03.21 Wednesday
  • 18:46

 

 今日は、雪まじりの冷たい一日でした。しかし、桜も開花したことですから、間違いなく春は間近ですよね。そんな春のような作品を石塚さんが作りました。仕上げになって、もう少し派手にしたいと言うのでヒントを伝えました。派手とは目立つことです。目立つとは、コントラストが大きいこと。そのコントラストの一番が明暗対比、明るいくらいの差が大きいこと。次に、色相差が大きいこと、その際たるものは補色対比です。そして、彩度対比は彩度の高い色と鈍い色の組み合わせです。要は、派手なものばかり集めても、それほど派手にはならないということ。すべては、対比があって存在する。

 そして、どうしたかというと、赤主体の絵に、小さい黄緑の紙をちりばめました。りっぱなアクセントカラーですね。よしよし、春よこい!

 

 

 そして、葉っぱと天気をモチーフにしている海田さん。今日は、何を描くの?とたずねると「春よこい!はるよこい!」とつまらない冬空の写真をもってきた。常々、リアリティーのある、現場感のある絵を描くように言っているのに、この様かいな!と。今日は、どういう日ですか? 教室まで来るのに、特別なことがなかったのか? そうです、でっかい雪がボタボタ降っています。そして、教室の前の明治通りでは、しだれ桜。ここで描かなくてどうすのかと、外に観察に行ってもらいました。

 もう一つのアドバイスは、先にマスキングテープをちぎって貼っておくこと。これで、安心して雪の表現になります。題して、「春よこい、春よこい、淡雪きた」でした。その日のリアルな感覚を大切にね。



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今日の2点

  • 2018.03.19 Monday
  • 20:03

 

 山嵜さんの新作です。バーツ板のある静物画を長いこと描いてきたのですが、先の松濤美術館公募展以来、窓がモチーフに加わったようです。窓・ドアは、こちらの世界とあちらの世界の境界です。その狭間により真逆な世界が展開する面白さがあります。モチーフとは、そのもの自体の意味もありますが、その存在により哲学的な意味も含んでいます。ただ描くか、その奥行きを描くのか、絵の出来は、その作者の意識による。

 外は、丘陵・お花畑に気持ちよく晴れた空には、熱気球。爽快に広がる世界に対して、室内には暗がりの中に動けないダーツ板に囲われた人形。自分の殻を破り、外に行きたいという願望、そんな絵だよね。絵には、物語もあれば、考えさせられることもある。対比は、優れたテーマになり得る。

 

 

 川内さんのサムホールの2点連作出来上がりました。「ネコがいる青い空間」ってとこかな。背景の美しさとネコを感じる絵を目指しました。けしてネコを説明しないことを心がける、チョットした形態で、見る側は想像するものだ。なんかじゃれているよねって感じます。ネコが好きなんだから、自分の絵として描けばいい。



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上面は明るく・立て面は暗く

  • 2018.03.14 Wednesday
  • 18:56

 

 今日は、中西さんの水彩画一点。よたよたになったデルフィニウムがなんとか描けそうなので、モチーフに決めた。さて、何をそえるか??? たまにはカワイイ系のを入れようとクマのぬいぐるみに色地の敷物。最初の指示は、できるだけ周りに手を入れるように、だったのだけれど。。。床面が暗くなってはいけません。今日は、上面は明るく・立て面は暗く、という基本の勉強です。いい紙を使っているので、拭けば明るくなる。まずは床面を明るくです。次にクマさんの胴体と植木鉢を暗めにします。モチーフの色をそのまま塗ると間違いなく明暗の関係を崩す。ここは、「明るい面よ」と意識して色を置くのだ。置く意識が、色の選別を高めます。塗ると思った時点で、何も考えていない事が多い。色は、重ねたり混ぜたりしれば、元の色より必ず暗くなる。だから、水彩も暗いところから描き進め重ねることで、色味を増やしながら暗い調子をつくるのです。一歩一歩、勉強。よくなってるよ!



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地塗り

  • 2018.03.12 Monday
  • 18:55

 

 柳澤さんの山の絵、途中段階。山の絵は、山の専門家から言わせると、形が違うの、この沢は違うの、頂上はここじゃないよ、と何かとうるさい。それでか、描く方も、しっかりとスケッチや写真を確認することになる。確認ならいいのだけれど、ただただ、写す作業になると、全体のバランスを崩し、表現とは遠いものになってしまうことが多い。そこで、モチーフや写真は描き写すのではなく、いただくものである。野菜や肉のような材料だ。だから、どう料理するかが表現となる。

 

 さて、この作品は、古キャンバスの再利用で、セピア系の絵の具で塗りつぶされていた。要は、淡いセピアの地塗りの処理が成されていたのである。木製のパレットがどうしてオーカー系の色になったか?というと、昔はオーカー系の地塗りをしていたから。その中に入れる絵の具を調色するには、キャンバスの地の色と同じ方がやりやすいから。現在は、キャンバスもよく出来ていて、白い地から描き始めることが多い。で、白いペーパーパレットも理に適うのです。僕は、昔、ガラスのパレットを使っていて、下に色紙入れて調色をしていました。

 

 地塗りの色は、全体の基調色になります。同じ色も、地の色が違えば見え方も変わります。描き始めがいい絵だねと言われるのは、全体に、その基調色が点在し統一感が出ているからが、さらに、最初は発色がいいので輝きが増すのだ。で、この絵にもどると、山の説明に走ったために、山だけが背景の地塗りが消えてしまった。全体の統一感が主役の山で壊しているのです。やはり、全体的に同時進行が大切だね。せっかくの地塗り、有効に使わなければもったいないですね。



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今日の二点

  • 2018.03.07 Wednesday
  • 20:18

 

 金子さんの「本を読む女性」仕上がりました。体操でV字バランスてのがあるけれど、足下を支点にして椅子の背もたれと、頭部と本の空間で、微妙に3点バランスが成り立ってます。絵を描く上で、どこを一番、次は何処と、優先順位をしっかり意識しないとこのようなバランスは成立しません。当然、頭部が一番なのですが、背もたれが切れているので本も切る、両股さきの中で頭の前空間がいい感じに引き立ちます。さらに、背後のブラインドがさりげなく効果を高めています。左上の空間は、もう少し強くてもだいじょうぶだね。

 

 中西さんの水彩画、少しずつ淡くなってきました。べつに清楚に描くのが水彩ではないのですが、あまりにも色の対比が目立ってしまい、主役がいまいちの存在になってないけません。どの場合も、意志をもって主役を引き立てること。周りは、そのために、一生懸命関係を取り持つ。周りがあって作品が成り立ちます。
 しばらく温かかったので、今日から寒の戻りはきついですね。少しづつ寒暖の繰り返しで春が来ます。もうちょい、本気の春!がんばんべ!!!


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奥深く色が広がる茶畑

  • 2018.03.05 Monday
  • 19:56

 

 今日の一点は、松井さんの「スリランカの茶畑」です。いい絵ですね、一気にワンランク上の世界に駆け上がりました。元になった、写真は緑一色の茶畑です。今回は、この緑をどう表現するかを課題にしました。写真の緑を説明すれば、全くのつまらない絵になります。それは、表現ではなく、ただの説明描写です。遠くの緑、手前の緑。日なたの緑、日陰の緑。上面の緑、立て面の緑。低木の緑、樹木の緑。みんなそれぞれの表情がありますよね。みんな同じ緑という思い込みから、ぜんぶ違う緑だというように考えることができるようになったということです。

 

 緑のラインナップには、厳密にいうと緑でない色もあります。そのすべてで緑を表現する色の集まりをドミナントカラーといいます。ドミソ〜〜♪という和音みたいなもの。というか、ドミナントはもともと音楽用語ですね。色の広がりは、ドミナントにありです!



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